【079】高額のヴァイオリンについて

Question

よいヴァイオリン高額と聞きます。なぜ大きなピアノより高いのですか?

Answer

いい質問ですね(*^_^*)

 

ご存知の方も多いかもしれませんが、

最も高額有名ヴァイオリンは300年前に活躍していたイタリアのアントニオ・ストラディバリによって作られたストラディバリウスと呼ばれるものです。

ヴァイオリン以外のチェロやギターなども含めると、ストラディバリは生涯に渡り1000挺以上の弦楽器を製作したと言われています。

現存するのは約600挺とのことです。

 

少し前までは家が一軒建つと言われていたストラディバリウスでしたが、近年ではさらに高騰し、軽く億を超えるようなヴァイオリンも出てきました。

ちなみに2011年のオークションではなんと約13億円で落札されたそうです。

 

なぜこれ程まで値が上がったのかには幾つかの理由が考えられます。

 

一つはストラディバリの職人としてたぐいまれな高度技術です。どのように製作したらよい音が出るかを彼は知り尽くしていました。

これだけ科学技術が進歩した今日でさえ、弦楽器製作者にとってストラディバリは未だ鑑の職人です。

 

次に当時の木などの材料よさが語られます。現在では弦楽器に向いた木材が年々失われているそうです。

材料の良し悪しは楽器の音に大きな影響を与えます。

 

また楽器自体が芸術作品と評価され、投機の対象になっているとも言えます。

 

もちろんヴァイオリンの質や値段もピンキリで、通販などで購入できる大量生産されたものであれば1万円程度からの物もあるのが現代です。

 

ではピアノの場合はどうかと言うと、これもまた様々な職人の技術や高度な科学技術の積み重ねによって出来上がってきます。

 

最初にピアノを作った人は奇しくもストラディバリと同世代、イタリアのバルトロメオ・クリストフォリです。

 

しかし決定的に弦楽器と違う点は、同じ300年前の楽器でも弦楽器の場合は今日でも現役楽器として活躍していることです(もちろん修理修繕は何度も行われてきています)。

ところがピアノは18、19世紀に改良が進み、現在構造となったのは19世紀末のこと。

もちろんクリストフォリの作ったピアノやまた当時のピアノには独特な味わいがあるものの、

現代のピアノと比べると全く異なる楽器の音のように聞こえるのも事実で、様々な事情から今日のコンサートでは19世紀末以降の構造を持つ、

それも完成してから何十年と経っていない新しいピアノが使われます。

 

ピアノで最も高額なのは、基本的に新品のコンサート用グランドピアノで、およそ2000万円前後

ちなみに音大生(ピアノ科)の使用するグランドピアノ100万~200万円前後、中古の縦型アップライトピアノ30万円前後です。

 

ピアニストにとってはよいピアノは芸術品ですが、ヴァイオリンと比べるとそのようには捉えられにくいようです(高くなっても困りますが、汗)。

と言うことで使われている材料部品の量は弦楽器と比較にならないほど多いものの、弦楽器のよいものの方がはるかに高額です。

最近では古いピアノに価値を置く傾向も出てきましたが、消耗品、工業製品としての位置づけが根付いているのかもしれません。

 

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